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【ブック・レビュー】 祖父たちの零戦

Posted by Ken at August 29,2010

元零戦搭乗員への取材をライフワークとされる神立尚紀(こうだち・なおき)氏。本書は同氏が著したもので、1995年から始まった関係者への取材の中でも多くを語った進藤三郎氏、鈴木實氏のお二人にスポットライトを当てた証言集となっています。


▲ 祖父たちの零戦/講談社 (2010/7/21)/単行本:426ページ/1,890円

空の闘いの実相、戦後のあらたな人生、そして再び空へ帰る日(天国へ旅立たれる日)までを克明に追っています。その虚飾を排した真実の物語には心を揺さぶられました。

坂井三郎氏の名著「大空のサムライ」誕生秘話についても多くのページが割かれています。伝説化された坂井氏のことしか知らなかった私としては、少々ショッキングな内容でしたが、何よりも真実を知ることが出来たのは大きな収穫でした。


▲ 童友社・翼コレクションの零戦を傍らに置いてイメージングの助けとします。

多少の脚色はやむなしと商魂逞しく筆を走らせる人がいる一方、丹念に取材を積み重ね整合性を取りながら慎重に筆を進めていく神立氏のような方もいらっしゃる。

何よりも真実が知りたい私にとって氏の姿勢には非常に共感を覚えます。人を感動させるには真実だけでいいんです。ねつ造はいらないのです。

晩年、病床に伏せる鈴木氏と奥様との会話のシーンでは、あふれる涙を抑えることが出来ませんでした。

励ます代わりに隆子は、
「あなた、もしも生まれ変わったら何になりたいですか?」
と問うてみた。鈴木はちょっと考えて、
「そうだな、俺は鳥になりたいなあ。鷲のような大きな鳥になって、また自由に空を飛んでみたい」
と、目を細めて答えた。
「空を飛ぶなら、飛行機はどうですか?」
重ねて聞くと、
「飛行機か…。零戦は実にいい飛行機だったよ。零戦ならもう一度、操縦してみたいな」
苦しそうな息づかいながら、すぐにでも操縦したいような口ぶりである。
引用:第八章 蒼空より

国のために懸命に闘い、必死に生きた世代の想いを、我々孫の世代は、決してないがしろにしてはいけないんだ。しっかり受け止めて、そして次代へ繋ぐ努力を私なりにしてみよう。

そう固く心に誓った休日の昼下がりでした。
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