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【BOOK レビュー】ターゲット・ハノイ

Posted by Ken at June 28,2009

ベトナム戦争に従事したF-105サンダーチーフ(愛称サッド)・パイロットの戦記。


▲ジャック・ブロートンの名著 "Going Downtown" を藤田勝啓氏が翻訳

地対空ミサイル、対空砲火、ミグの追撃をかわしながらの北ベトナム攻撃(いわゆる北爆)は苛烈を極め、サッドに関していえば321機が戦闘で、さらに61機が事故で失われています。

北爆当初はミグカバーはなく、サッド・ドライバー達は自分で自分の身を守るしかありませんでした。その後、新鋭機ファントムがサッドを護衛するようになります。

我々はその助けを喜んで迎えたが、しばしばお互いにからかいあった。塹壕に身を伏せるような超低空飛行ができないというのは、プリマドンナのようですな、とこちらが言えば、なにしろこっちは洗練された空対空のスペシャリスト、汚れ仕事はおたくに下の方でやってもらいましょう、と向こうは言い返す。 「ミグをやっつけろ」




▲Hobby Master のモデルを傍らに置き、イマジネーションの助けとします。

勇猛果敢に敵地攻撃に赴くブロートンですが、制限の多いミッションで仲間を無為に失うことに憤りを感じ、ワシントン上層部を痛烈に批判します。

同じ勤めについた人々を失うのは、当然ながら心が痛む。だが、こうした損失が我々を苛立たせるのは、悲しむのは我々だけで、国が、それだけでなく我が空軍でさえ、さほど気にしないように感じられたからである。交戦規則と、それを強いる人々が、実際に戦っている相手と同等、あるいはそれ以上の敵であるように思えたので、仕事はさらにつらいものとなってしまった。 「くたばれ、マクナマラ」



攻撃が禁止されていたソ連船「トルキスタン」に銃撃を加えてしまった部下をかばうため、ガンカメラのフィルムを処分し軍法会議にかけられるブロートン。上層部の無茶な交戦規定に対しては胸を張って裁判に臨みます。

本書が前著「サッド・リッジ」とともに長く読み継がれているというのは、こういった一本芯の通った著者の考え方に共感できるからではないでしょうか?

保身ではなく部下のために体をはる。これは平和な世の中でもなかなか出来ることではありません。それが戦争という極限状態なら尚更です。

本書は軍用機の運用に関心を持つ全ての方にお勧めしたい良書です。ぜひ貴殿の蔵書にお加えください。

★ターゲット・ハノイ-北爆パイロットの記録
/ジャック・ブロートン著・藤田勝啓訳/ハードカバー/(株)大日本絵画発行/1,835円
Category Tag: Media
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